2016年4月9日土曜日

桜の木の下で

「思いつき花見」のお誘いがお昼直前にあり。
電話急げ・善は急げで、あり合わせの残りものをお弁当箱につめ、近所の桜並木で集合。
風はまだ冷たいけれど、春は来たのだ!


並木の横の広々とした遊び場で、4歳〜10歳の子ども達が入り交じってめいっぱい外遊び。
途中、大きい子達だけで飲み物のおつかいに行ってもらったり、広場の外れ、視界の外の
草むらで用を足してもらったり(笑)…
きっちり用意が整ってなくても、勢いで楽しく過ごせることがわかって、なんというか、
ちょっぴり開眼した気分。失敗嫌いの完璧主義には良い薬。
なんなっとええようになるわな。

2016年4月8日金曜日

おうちでにほんご 2.0

皆様ご無沙汰しております。
こまめ10歳・ごまめ6歳、元気にやっております。


さてさて、昨今のおまめ家ですが、
自宅でちいさなちいさな日本語教室を開くようになりました。
ごまめのクラスの子に乞われ、早や2ヵ月。その様子はといいますと…


* * * * *

生徒は、8歳になったばかりの男の子がひとり。
両親共にオランダ人で、これまで、テレビなどで時たま流れる英語のフレーズを除いては、
よその言語に触れたことはない。
「漫画やアニメが好き」というような、今時のサブカルファンの青少年にありがちな動機も
まったくなく、単純に「知らない言葉を習ってみたいから」とのこと。

なんと奇特な!!!

その好奇心と心意気に打たれ、週に一回、放課後に、小一時間の授業を持つことになった。


* * * * *

文字も単語も全く未知の子に教えるわけだから、(微々たるものとはいえ)赤ちゃんの頃から
蓄積のあるこまめごまめとはやはり勝手がちがう。
大人に教えるようにロジック(文法)で型を納得させてバリエーションを展開する、という
手法もあまり適していない。
外国人対象の日本語教育に関してはまったくの素人である自分だが、とにかく手探りながらも
始めてみることにした。


* * * * *

教え始めるに当たって、まず最初の疑問は
「何を教えよう?」
ということだった。

日本に観光旅行に行く予定があるわけでもなく、検定試験などの目標があるわけでもない。
8歳のYくんにとって学ぶべきこと、彼の世界が広がるきっかけになることって何だろう?

結論: やっぱり…「友達」だよな。

人と人との気持ちの架け橋となる言葉。
日本の人と友達になるには、どんな会話が必要だろう?
友達ができたら、何を話したい?

Yくんの立場になって思案してみると、段々見えてきた。
そこを到達目標にすることに決めたら、あとは授業時間に合わせてコマ割りしていくだけ。


* * * * *

まずは、人と人をつなぐ基本中の基本「あいさつ」から。
その中でも、特に「こんにちは」と「ありがとう」を必須とした。

それから、「自分のことを紹介する」。
「ぼくはYです」「ぼくはオランダ人です」などが言えると、初対面での会話のきっかけになる。

2ヵ月経った今では、授業のない日にも校庭などで顔を合わせると「こんにちは」と返って
くるようになった。ちょこっとお辞儀もついてくるあたり、なんとも微笑ましい。
ジェスチャーのコピーがさりげなくうまくいってる様子で、シメシメである。


* * * * *

さて、耳慣れない言葉を教科書もなしに音だけで説明するには限界がある。
そこで思いついたのが「ことばカード」。

短冊状の紙の左半分に日本語のことば、右側にそのローマ字表記。
裏返すと本人がメモった蘭訳が書いてあるので、一度に覚えられなくても大丈夫。






直観的に作った教材だったが、この形式でやると、オランダ語/ローマ字の横書きと日本語の
縦書きが無理なく並立するし、文章の組み立てや品詞も非常にわかりやすい。
頭の中でやっていることを、目に見える形に分解再提示したわけだ。

2ヵ月で、この程度の構文がわかるようになってきた:



毎週少しずつ増えて行く単語は、「ことば」と書いた封筒に貯めていく。
この封筒が、まさにYくんの「語彙」なのだ。
語彙が膨らむと表現の幅もどんどん広がる…ということを視覚と触覚で直観的に体感できる。
この魅力は、Yくんにとってもお馴染みの、モンテッソーリの教具に通じる。

もちろん、単語の意味はそうあっさりとは定着しない。
が、とにかく触れることが大事と、圧倒されない程度の数(毎回数語)の新単語を使っている。


* * * * *

文字の習得は今の段階では求めていない。
日本語独特の発音に慣れるため、しばらくの間、授業のはじめにかな表を声に出して読むと
いうことを続けてみたのだが、それが「母音と子音の組み合わせチャートである」ということを
一瞬で理解したYくん、探す文字がどこらへんにあるかもすぐに見当がつけられていた。
こういう勘こそが語学習得には大きなアドバンテージだよなあ…と感心。

縦書きという特殊な形式に慣れるために、例文なぞり書きの時間は取ってあるが、家で復習することも強制していない。
ローマ字かなを小さく振ったかなカナ表を渡してあるので、いつか学んでみる気になったなら、
素材は手元にある…という状態に留めてある。

じゃんけんや折り紙などの遊び要素も欠かせない。

諸々の解説や合間合間のおしゃべりは、今のところオランダ語。
日本語を聞いたり話したりする時間をできるだけ増やしていきたいので、徐々にシフトして
いきたいところ。

さしあたって、夏休みまでをひとつの「続ける目標」にしてある。
長期休暇の後もまだ面白いと思ってくれるのだったら、喜んで続きを教えたい。

授業の計画を練るのもまた楽しからずや… ♪