2011年8月5日金曜日

「夏らしさ」って…

午前中は、来客に備えてドタバタ。
日頃からマメに掃除片付けに精進していればこんなにあせらなくても済むはずなのだが…。


午後、市役所に行ってこまめのパスポートの更新手続き。
前のパスポート写真は生後3ヵ月の頃のもの。赤ちゃんすぎて笑える。
今回は5歳なので、書けるんだったら自分で名前を書いてね、と言われた。
「アルファベットでもいいし、ひらがなでもいいし、どっちでもいいよ」と横から言い添えた
ところ、ひらがなで書いていた。


それから、お客さんを迎える。
アムステルダム在住の日本人カップルで、友達のような後輩のようなふたり。
幸いお天気に恵まれたので、アイセル湖畔をのんびりドライブ。
後ろの座席で、こまめはお姉さんに(日本語で!)たくさん遊んでもらってキャッキャ言って
喜んでいた。風つかまえたりして、楽しそうだったな〜。

晩ごはんは、仕事を終えて帰宅した父も交えて家で。
オレンジのスライス4個分を投入した「鶏肉のスペイン風煮込み」なるものを仕込んであった
ので、それとクスクス、あとは人参のモロッコ風サラダなど。
デザートには何かひんやりしたものを…と思い、ごく淡い色のレモンのママレードと寒天で
ゼリーをこしらえておいた。
見るからに涼しげで、お出しするなり「夏らしいね〜」と言ってもらった。
それを聞いていたこまめ…「『夏らしい』って何?」ときた。
台所から聞き耳を立てていたのだが、ふたりとも説明に苦戦していた様子。

揚句、5歳児では経験値が少なすぎて、「○○らしい」という概念は説明しきれないという結論
に達した。
これまでの「夏の体験」の蓄積があるからこそ、こういうものを見たり味わったりすると夏を
感じるのだろう、と。ヒンヤリつるんとした食感、柑橘の香り…。
別に、夏におぜんざいを食べたって冬にアイスを食べたっていいわけだけれど、「冷やし中華
始めました」みたいな、季節限定の食べものが日本人は大好きなんだよねえとつくづく思う。

だいたい「夏らしさ」ひとつとっても、オランダの夏と日本の夏はずいぶんちがう。
四季の移り変わりにしても、春に真夏のような1週間が突如として訪れたり、夏の真ん中に
秋(寒くて雨ビショビショで暗い)がシャッフルされたりしていては、クッキリとした境目の
つけようがない。

季節感の経験値を上げるべく、絵本を読んだり動画を見たり俳句をやってみたり、年中行事
をささやかながらお祝いしてみたり、何かしらせっせとお膳立てしようとしてるんだよなあ。
衣更えの概念のない国で、○月だからと暦から季節感を無理矢理設定して少しでも感じようと
しているのは、日本人ゆえの悪あがきのような気がしないでもない。

蝉の声、入道雲、むわっと立ち上る湿気、遠くの方で聞こえる高校野球中継の応援歌、
ヒエヒエの店内、風鈴の音、したたる汗、落ちる影の濃さ、ジリジリ、そうめんのガラス鉢、
漆黒の夜空の天の川、蚊取り線香の匂い、線香花火の落ちる音…

…そんなものが当たり前だった頃は、もう随分遠くなっちゃった。

4 件のコメント:

  1. その節はお世話になりましたm(_ _)m
    夏らしさ、絶句しましたよ。
    お母さんっていつもあんなすごい質問されちゃうんですね。
    すごい刺激的なひとときでした。

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  2. 新しい語彙、つまり「言葉の意味」を教えるだけなら楽勝なんだけどね。
    名詞なんかだと、対応するオランダ語で教えるという手っ取り早い方法もあるし。
    しかし「概念の説明」となると、厄介ですなあ。
    大人が哲学的に考え込むきっかけとなる爆弾をさらっと落としてくるよね。

    そもそも「夏らしいね〜」というセリフ、大人同士の会話ならではだね。
    私が直接こまめに言うとは考えにくいです。
    親子の直線的な会話が、第三者の複数の大人がからむと随分ちがった立体的な
    ものになり、すごくありがたいです。(単純に私も楽しいし♪)
    また、刺激を受けに&与えに来てね!

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  3. この間はごちそうさまでした。
    運良く天気も良く、ドライブにも連れていってってもらってなんだか子供の頃の夏休みに親戚の家に遊びに行ったようでのんびり楽しかったです。

    確かに日本的「夏らしさ」ずいぶん味わってない気がします。特に「蝉の声」。言われるまですっかり忘れていました。ビールも日本では夏以外はあんまり飲んでいなかったけど、オランダでは年中です。

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  4. >kaitaさん
    親戚の家!ははは、それじゃお正月にも来てもらわないと!
    アイセル湖岸と自然保護区、冬の景色もまたいいものですよ。

    日本の夏、みっちり味わってきて下さい!

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