2011年12月15日木曜日

体験したことを話す 〜正しく問う〜

先日の記事「お話を再現する」に書いたことだが、「質問の仕方次第で、引き出せる答えが
変わってくる」という体験をした。
実は、それに至るちょっとしたきっかけがあったので、そのことも含めて、つらつら考えた
ことを記しておこうと思う。

大人でも、ただ漠然と「どんな本だったか」「どんな映画だったか」「どんな旅行だったか」
と聞かれて、簡潔に要点を押さえて(しかも面白おかしく)伝えるなんてことは至難の業だ。
言葉を連ねて文章を組み立てる練習中の子どもなら尚更のこと。
では、どうやってそのとっかかりを作ってやったらいいだろうか?


こまめ達のクラスは、日本人学校(全日校)の1年生の教室を使わせてもらっている。
送迎の際に教室の中をくるっと見て回っていて、ふとあるものに目が留まった。
それは、数人分の読書感想文。
用紙はただの罫線用紙、読んだ本はいろいろなのだが、書式が皆揃って同じなのだ。

まず「この本には、○○と△△と××が出てきます。」と登場人物に関する記述があり、次に
どのような物語かの説明があり、最後に何が面白かったかが書いてあった。
このように、雛形に沿って一定のパターンで書くことで、読書感想文、つまり読書の体験を
他人に伝えるやり方(レポートの書き方)が易しく習えるのだなあ…ということがわかった。
小1でも、それなりの体裁で感想文が書けている。

そのことが頭の片隅にあったので、こまめが学校で読んでもらった絵本のお話を再現しようと
した際に、とっかかりを作るヒントになった。
いきなり物語の骨格を伝えさせるよりも、手にとりやすい鮮明な要素(言うなれば、スープの
具)=登場人物について聞き出すと、随分話しやすかったようだ。


人に伝えようと思って何かをする場合と、体験そのものに没頭する場合では、後に残るものの
質がちがってくる。
件の絵本読み聞かせの場合、もしかしたら先生が「このお話の内容を、後でお家の人に教えて
あげて下さいね」なんてあらかじめ予告していたのかもしれない。


これと関連して、オランダ現地校での活動についてあまり教えてくれなかったのにはいくつか
理由があると思っているのだが、

 ・オランダ語で体験したことを日本語に言い直しにくい/そのための語彙がない
 ・単純にぼんやりしていて何をしたか覚えていない
 ・次々起こる出来事の記憶に上書きされて、最初の方の記憶が消去されている

…という点に加えて、

 ・後でお話するために学校でいろいろやるわけではなく、いろいろやるために学校に行って
  いるだけなので、体験そのものが完全に「消化」されて、きれいさっぱりなくなっている

…みたいなことがあるのかなーと思うようになった。

なので、これも「今日は何したの?」と聞くのではなく、「お休みした子はいた?」とか、
「お仕事は誰と一緒にやったの?」とか、できるだけに具体的に聞いてやった方が、答える
方も答えやすく、そこから話も引き出しやすいようだ…ということがわかってきた。

正しい答えを得たいなら、正しく問うこと。
親も日々学習ですな。

2 件のコメント:

  1. これ、まさに今うちの子の課題でもあります。
    この間は国語の時間に自分の大切なものを絵と文章で人に説明しようと言う勉強をしたようです。
    子は、生まれたばかりの弟のことを書いていて、重さは学校の椅子くらいで、長さ(身長)は学校の机ぐらいです、だって。
    笑ってしまいました。
    学校であった出来事や、友達と遊んでいて困ったことを聞いても、あまり言いたがらないのは、こっちの聞き方がわるかったんだな〜
    これから聞き方に注意してみます。

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  2. >ばったさん
    コメントありがとう!
    やっぱり、そういうことは1年生の国語の時間に習うのね。
    「自分の大切なもの」=「生まれたばかりの弟」…ジーン…ええ子や…
    学校の椅子や机と比較してみるところがとても面白いね。
    自分の世界の自分のものさしというものを持ってるんだねえ。
    腹時計というか、独特の感覚だね。
    そういう世界をできるだけのぞいてみたいから、うまいこと聞き出せる手は
    ないもんか…と思う、試行錯誤の日々です。
    また面白い発見があったら教えてね。

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