2011年3月31日木曜日

メディアの目

おまめの家では新聞を購読している。
中道左派の全国紙で、購読者数は約243,000、第3位(無料配布新聞を除く。参照)である。
3月12日以来、震災がらみの記事の載ったページを取っておいてある。

一番下が震災翌日のもので、それ以来、日曜日を除いて毎日何かしらの記事がある。
6日目までは連日トップニュースで、7日目に初めてリビア騒乱にその座を明け渡した。
震災がなければおそらくそちらがずっと最重要事項だったろう。

2週目以降も中のページで大きく取り扱われていたのだが、昨日(3月30日)初めて、これと
いった記事がなかった。
唯一、スポーツ欄の隅に「日本チーム、アイスホッケー世界選手権参加を断念」という小さな
記事があったのみ。日本ではアイスホッケーは北国のスポーツで、被災地出身/在住の選手が
多いからという理由とのこと。


記事がないからと言って事態が収束したかというと、そんなわけがない。
今日(3月31日)の国際欄には再びでかでかと原発の記事が。
オランダの、ひいては欧州の、そしておそらくは世界中の関心は、日本がこの原発危機をどの
ように乗り切るか、ということに集中している。
特に原子力発電で電力供給の一部をまかなっている国(オランダも)にとっては、他人事では
ない。地震や津波とは無縁な土地だが、危機管理と言う点においては同じであるから。



このような、事態の深刻度や悲劇を伝える「ニュース記事」の他にも、読み物的な記事を時々
見かける。
これはメディア欄に載っていた、各国の雑誌の表紙デザインについての記事。(3月29日)

真っ赤な日の丸は扱いやすいシンボルのようだ。誰が見ても何のことか一目瞭然。
ちなみに、バッテンのついた日の丸の『TIME』は1945年のもので、日本の敗戦=降伏の時の
表紙だという。キツいなあ…。

また、日本の文化的背景に迫る記事は、外から見た日本ということで興味深い。
オランダにおける日本学の殿堂、ライデン大学日本学科の先生のインタビューが、週末(3月
26日)のサイエンス特集の心理関係コーナーに載っていた。

記事のタイトルは『日本人だって泣く』。
「ストイックで感情を表に出さない日本人」というステレオタイプに苦言を呈する内容だった。
平常時にもニヤニヤ笑うだけではっきりものを言わず、何を考えているのかわからないと捉え
られがちな日本人なので、いろいろと謎めいて映るのだろう。
僧侶でもあるという先生は、仏教的・神道的背景についても述べていた。

実は、オマケの質問が冴えていた。
「全然ちがう話題ですが…。どうして日本の首相はあんなヘンテコな上着を着ているんですか?」

ファンデルフェール先生のお答えはこちら:
日本では、業務内容にふさわしいドレスコードというものがあるんです。
首相は会議に明け暮れているのではなく、災害対策に尽くしている、ということを示したい
わけです。そういうわけで、背広ではなく作業着なのです。

そう言われてみれば、両陛下の避難所訪問も作業着風だったな。
願わくば、記者の言う「首相」が菅氏でありますように…。
メディア露出は枝野氏の方が圧倒的に多いから、イタリアの一部ではバッチリ誤解されてた
そうな。


最後に、一昨日(3月29日)の一面の見出しを。

もはやFukushimaの名は、Hiroshima、Nagasaki、Chernobyl(オランダ語ではTsjernobyl)と
並び、世界の負の歴史に刻み込まれてしまったのかと、なんともやりきれない気持ちになって
しまった。

2 件のコメント:

  1. 首相およびかの党の方々が新しい作業服をデザインしてオーダーしたんだそうな。そんなことしてる暇あったら仕事しろ!とツッコミがあったが、まさにその通りです。そんなことに金と時間費やすな!

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  2. >ぺっぺんさん

    なんじゃそりゃ……(ポカーン)
    前のが使用不能なくらいボロボロなんだったらともかく。
    それにしたって「防災の備え」として平常時にやっておくべきこと。
    下着にも事欠いてる人達がわんさかいるというのに…!

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